第3章 いっぱい一杯
side.O
エロいなぁってさっきからずっと思ってる。
けど、お預けくらってるから、ニノの好きなようにさせる。
そういうの全部分かってるって顔で、俺に見せつけるみたいに笑った。
「俺、大野さんのその顔すげぇ好き。たまんないね」
そう言って、俺の膝に乗って向い合せになる。
耳に唇を寄せて、わざとらしく囁いてきた。こういうとこがズルい。好き。
何だか手持無沙汰だから、意味も無くニノの髪に指を通す。
そういう意図じゃないって触り方で、柔らかな感触を楽しむことにした。
よく分かんないけど、ニノが怒ってるって雰囲気なんだもん。
本当は、もっと触りたいけどちゃんと我慢する。
「何か喋ったらどうです?ずっと黙っててつまんないの」
「だって、俺から触っちゃダメって言ったじゃん」
「触るのと喋るのは別でしょ。何で律儀にされるがままなんですか」
軽く耳たぶに歯を立てて、ニノがいじけたように言う。
俺の恋人は、俺には難しすぎる。俺がバカなのもあるだろうけど、絶対に勝てない。
一緒にいられるなら勝てなくて良いけど。負け続けても良いんだけどさ?
でも、何て言うんだろう。偶には、俺のことでいっぱいなところが見てみたい。
悪戯心でニノの耳に触れて、そのまま指で弄ぶ。
少しくすぐったそうに首を竦める仕種が可愛い。もっと見たいけど、耐えなきゃね。
俺の首筋に息がかかって、こっちまでくすぐったくなっちゃう。
可愛いなぁって思いながら今度は背中に腕を回す。ぎゅうって抱き締める。
あったかいし、ぬくぬくだしこれで眠っても良いかもなぁ。
「ちょっと……大野さん、聞いてます?」
「うん、あったかいね」
どこか焦ったような声だと思ったけど、多分気のせいかな。
ニノがいるし、近くにいるし、邪魔されないし。
肩に額をくっつけて、背中に回してあった腕を腰の方に移動させる。
もっともっと欲しい。あったかいニノが、欲しくて仕方なかった。