第22章 アバンチュールのお誘いですか another
side.A
「アバンチュールしてみない?」
「危ないコト、しよ」
楽屋に入って、かけられた言葉。思わず首を傾げた。
撮り残しがあってオレだけ残ったから、みんな帰ってるものだと思ってた。
リーダーはソファに寝転がってて、松潤は椅子で脚を組んでる。
何だろ、これ。
「二人とも、どうかしたの。わざわざ残ってさ」
「これで終わりだし?」
リーダーはかったるそうに体を起こして、意味ありげに笑う。
困惑するオレを見て、松潤まで訳知り顔で笑った。
何かヘンなの。
「あー、そうそう。返事は?まだ聞いてないんだけど」
松潤が長い脚を組み直して、片目を瞑る。そのカンジが、好きだなって。
しょうがないし、諦めよ。そう思って後ろ手でドアを閉め、何となく鍵もかけた。
あ、オレ、期待してんのかな?
楽しいコトがあるかもしれないって、楽しみにしてるのかも。
「じゃ、しよっか。よく分かんないけど、面白そうだし」
「良かったぁ。アバンチュール断られたら寂しいもんね」
「大野さんが言うと平仮名に聞こえるなぁ」
「んー?そう?」
子供みたいな顔で二人が話すのを見て、楽な気分になってた。
気付かないうちに、疲れてたのかな。
そんなときは美味しいものと、好きなこととか楽しいこと、だよね。
「で、何すんの?オレ、乗り気になっちゃった」
「ハグとキス。今、誰も恋人いないでしょ?」
「んふふ、本気のちゅーでもいいの?」
「あー、何だっけ?ハグすると疲れがとれるとか、そういうヤツ」
自分で言いながら、何かそういうのあったなぁって考える。
効果が無くても、イイんだけど。何となく理由が欲しかった。
「相葉ちゃん、ぎゅー」
「うわっ、びっくりしたぁ。ぎゅーだね!」
飛び込んでくるリーダーを受け止めて、背中に腕を回した。
やっぱいい匂いがする。ほわほわしてて、安心する。
リーダーがもぞもぞして、変な体勢で後ろに向かって手招き。