第99章 ambivalence: other side
期待に逸る心臓を落ち着かせ、深呼吸をします。
頬を両手で挟んで包み、唇同士を近付けていきます。
さっきのキスも、今のも、どうしようもなく心地好い。
もっと、したくなります。
俺は彼が起きた方が好都合だから、止まる訳がありません。
「早く起きろよ、キスしよ。まーさーき?」
普通に喋るときの音量で、話しかけます。
体重をかけないように、と遠慮していたのもやめます。
だって、早く、はやく、目を覚ましてほしいのです。
俺を見て、笑いかけてほしい。
「好きだぞ、だから、起きて!」
「ん、ぅ………ん……んんっ!へ、あれ、おーちゃん?」
「ふふ、おはよ。好きだよ、キスしよう」
じれったくなったので、いつもより強めに喋ってみます。
すると五月蠅かったのか、起きてくれました。
驚きに目を丸くするのが、とびっきり、かわいいです。
漸く、です。
やっとで起きてくれたので、したいことを沢山しましょう。
「まさき、俺と付き合って?」
「え……なんで。アレ、妄想じゃ、なかったの?うそ、そんなの、」
「嘘じゃないって。両想いだし、いいじゃんか」
戸惑いを垂れ流す口を、俺ので塞ぎます。
その後は、ほんのり赤くて美味しそうな耳を食べよう。
そう強く思いました。
かわいくて、甘いもの好きな彼は、あまいに決まってる!
もう、たまんない。