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小話【気象系BL短編集】

第97章 いとけないカレとこすっからいワタシ





「かずにぃは、女の子から告られたら断ってんの?」

「えぇ、勿論。俺には、サトシがいれば良いんだから」

「んふふ………俺も、だな。にぃちゃんと、お揃い」


はにかんでそう言った弟の頬へ、俺は軽いキスをした。
くすぐったそうにしつつ、俺の肩へと凭れ掛かってくる。
何て、幸福なんだ。
刷り込みを地道に続けている成果かな。


もっと、寄りかからせたい。頼るように仕向けたい。
そう思い立って早十年。
近頃、目に見える結果が出てきている。だけど、もっとだ。
キスくらい普通だと思わせるのは、成功している。
それで最終的には、全部が欲しい。

成人する前には、手に入れたい。
その為に、更なる努力が必要になってくる。


ま、俺があげるのが、弟の体に負担がかからないか。
奪いたいな、というのもあるんだけど。
サトシの好きなようにさせよう。
およそ兄の資格など無いようなことを考え、でも縁戚じゃないからいっかと開き直る。


「俺、にぃちゃんの言う通りにする」

「ふふ……俺は、いつだって、あんたの為になることをするから」

「分かってる。ありがと。にぃちゃん、大好き」


年不相応に笑んだかと思えば、唇を掠める感触。
え、と俄かに驚いて視線を遣れば。


「…………だいすきだよ、カズナリ」


満足げな表情の弟が、耳へと囁きかけてきた。
あぁ、何てことだ。
俺のサトシが、こんなにも男前に育ってる。

火照ったとこを隠すように、弟の肩口に頭をうずめた。
成長って早いもんだなぁ。
これからが、どうしようもなく、愉しみでしょうがない。





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