第77章 ユメもみない眠りを
ドライだという自覚はあるけども、それはリーダー達には当てはまらない。
ひょっとすると、ウェットの部類かもしれないくらいだ。
俯瞰的だからといって、周囲を睥睨している訳じゃないし。
「あーあ………俺はあんたのこと、アイシテルのに」
「ん、ふふっ…めんどくせぇな、ニノは」
「えぇ、そうですよ。がっかりした?」
「全然。知ってるし」
穏やかに大野さんが答え、俺の腕に腕を絡ませてきた。
この温かな空気を、次に壊すのは暫く後にしましょうか。
好い塩梅のぬくもりに眠気を誘われ、そっと目を瞑る。
だって、こんなにも眠いんだ。
だからね、俺のひねくれだってお休みだ。
おやすみ、ニノ。
そう囁く優しい声が、耳に届いたような気がした。
斯くして手に入れたのは、失くして久しい安眠だった。