第71章 修羅を燃やす
「はぁ……アイツらのこと、愛しちゃってんのになぁ」
「……告白しちゃえば?スッキリするかもよ」
「いや、出来ねぇな………何かあったら立ち直れない」
「そうなったら、アンタのこと慰めるから大丈夫」
大野さんはマジかなんて呟き、更にオレに凭れてくる。
原因はそれではないけど、内心、羞恥に襲われる。
慰める、と言った自分の声が僅かに弾んでるものだから。
嫌な男になっちゃった、とも思う。
付入る隙を、入り込めそうなとこを、つい探してしまう。
傷心に付込めば、振向かないないかなって。
あなたが傷付くことを、いつもどこかで期待している。
そしたらオレのところへ来るかもしれないってさ。
「じゃ、そんときは慰めてな。じゅん」
何気無しに呼ばれた名前に、動揺して返答は掠れて消えた。
だってその声音が、とんでもなく甘い響きだったんだ。
すっかり脱力した大野さんを眺め、ふと解せないことが浮かぶ。
愛情深いこのひとに、何で、オレだけ想われてないの?
その疑問の、何て不毛なことだ。あぁ、いやなおとこだ。