第68章 話をしようか
〇月△日
うっかり、書類の山を崩してしまった。
焦って必死に謝るオレを、最初は叱っていたあなたが。
ちょっとしてから決まり悪そうに、気にするな、とだけ言ったんだ。
好きだなぁってにやけそうになったけど。
そうしたら、あなたが面白くないだろうと分かってたから。
今日も、書いてるんだ。
あなたの好きなところを、書き溜めて。さめたときに読み返そう。
幸せな記憶を作るんだ。思い出なんて、贅沢は言わない。
そんなこと言える訳が無い。
同棲までしてて、そんなことを考えたら罰があたる。
きっと、悪いことが起きる。
大丈夫。オレはいつでも。
いや、うん。今日もあなたが大好きです。
*****
〇月×日
今日は、あまりよくない日だ。
あなたの苛立ちは当然で、だのにオレは口答えしてしまった。
オレはオレで虫の居所が良くなくて。受け止めるべきだったのに余裕が無くて。
今の自分に出来ることは、深酒になる前に止めること。
後は、あなたが落ち着くまで部屋で静かにしておくことぐらいかなあ。
本当に大好きです。
次の恋人は、もっとあなたを支えられるひとだと良いな。
*****
×月×日
今日は。違う、今日も、だ。
どうしたら良いのか分からない。あなたが、分からない。
散々覚悟していたのに、いざ別れそうになったら全く割り切れないよ。
どうしよう。どうしたらいい。どうしたら良かったのかな。
でも。それでも。好きでしたって言えるようにしなきゃ。
これくらい平気だ。それくらいは、ちゃんと頑張る。
ちゃんと戻れる。
だから。
大丈夫。うん、だいじょうぶだ。だから、