第67章 過ちを文る
「俺のこと、抱いてよ」
その甘い声に火を点けられたんだ。
優しさなんて忘れて唇に齧りつき、乱暴に呼吸を奪った。
そのまま手の指を搦めて、リーダーをゆっくり押し倒す。
覆いかぶさると、日焼けした腕が首に回される。
触れるだけのキス、その後でほんのり赤い耳朶に軽く噛み付く。
その刺激に細い体が震えて、釣られてジャラリと鎖が鳴る。
愛らしい反応に我を忘れ、気付けば口の中には血の味。
不思議と、あまいんだ。
オレを見上げる瞳に、ホントに自分しか映ってなくて。
潤んだ眼差しに、最高にゾクゾクする。
「もぉ……いッたぁ」
「だと思うよ。けど、誘ったのおーちゃんだからね?」
「っぁ……ふふ、そうだよ。だから、いっぱい頂戴」
痛いと言いいながら、大野さんは嬉しそうに笑うから。
だから、しょうがない。
歯が食い込むまで噛んじゃう。
鎖骨にも、胸元にも。それから、柔らかい内腿にも。
前のものが薄くなってたから、きっちり上書きしておく。
裸を見られないようにって意識してたらいいんだ。
「これくらい平気だもんね?もっと痛がっててよ」
ね、おーちゃん。
精一杯の虚勢を張って、そう声をかけた。
リーダーはやっぱり、こくりと頷いた。そうしてくれた。
そんな優しさは、オレしか知らないと思う。
そうであってほしい、と心の底から願ったんだ。
気持ち好くて堪らないのに、ぎゅうっと息が詰まる。
ほら、こんなに、いたいんだ。笑えるよね。