第64章 自信家と自信家
side.M
そのラインを超えるのは、自分勝手なことのように思える。
一線なんてとっくに通過した筈が、どこへも辿りついてない気がするよ。
恋人という立ち位置をもらって、そういう距離でいて。
けれども偶に、足元が崩れていってしまうような感覚に襲われる。
何で付き合えてるんだろうって。
愛してるし、愛されてるのに、こわくなるときがある。
「………行っちゃった」
ぼんやりとしたまま、閉じたドアを睨み付ける。
寝起きの頭は、どうもネガティブな方向に暴走するらしい。
仕方ないか。
あなたがいないと、この部屋は広くてどうしようもないね。