第63章 Just begin
side.N
食べるって、何か官能的にも見える。
見慣れているのに、何故だか色気を感じてしまう。
向かい側、喉仏が動く様に目がいって。
隣でグラスを持つ褐色の手が、いいなって。
端的に言えば、凄くエロい。
いや、確かに二人とも好きですけど。
それは友愛や敬慕の域を超えるものではなかったと思う。
もしかして、欲情してる?
自分の思考に、妄想に、じりじりと追いつめられていく。
その愉しさは不思議なことに、突破口であるかのよう。
一度くらいなら。それで割り切って、振りきれるのなら。
思いついたが最後、俺の口は勝手に喋りだす。
「ねぇ、お二人さん。ちょっとだけ、遊びません?」
「何すんの?ゲーム?」
「……ねむい」
乗り気の潤くんと、眠そうな大野さん。
まぁ、後者は押せば何とかなるから良いとして。
「ほら、来てくださいよっと」
欠伸を隠しもしないリーダーの腕を軽く引っ張った。
すると何の抵抗も無く、俺の膝の上にどさりと倒れ込んでくる。
俺を見上げる目に、一瞬だけ覗く冷たい色。
ゾクゾクして、知らず知らず笑いが零れてしまった。
それに触発されたかの如く、対面から刺すような視線。
おじさん盗られるのがイヤだったんですかね。
───あぁ、違うか。