第61章 白いのと黒いの
「マサキ、早く脱いでよ。サトと待ってたんだからさ」
「んふふー……たのしみだよなぁ」
唾液の糸が切れ、蕩けた瞳でふたりが笑む。
喰うのも喰われるのも、どっちもあるけど。結局はオレが喰われてるんだろうな。
獲物だと自覚して、再び喉が鳴った。さっきより、大きく。
そうして、オレの手はシャツのボタンを外し始める。
自分でコントロール出来ないのは怖い。
でも一番怖いのは、それを愉しんでることだ。
振り回されて、しあわせだということだ。
オレってこうだったっけ?もうさぁ、分かんないよ。
一応、便宜上はオレが飼い主だと思うけど。
だけど、だのに。いなくなって困るのは、多分オレだけ。
いやだなぁ、とオレはこっそり呟いた。
目の前のねこには、聞こえていないようだった。
「ふたりの好きにして、いいよ」
本音の裏、半ば自棄を起こしてるんだ。馬鹿だよね。