第54章 鬆が入ったカスタードプディング
ワガママに付き合ってるから、横暴でもゆるしてよ。
そうやって思えたら、良かったのに。
「今日さ、出さないでイってね」
告げた瞬間、相葉ちゃんが青褪めていくのが見えた。
ゾクリ、と背筋が粟立つ。それが、快感だと思いたい。
決して、嫌われたかもしれないという恐怖ではなくて。
嫌われたら終わりに出来るという安心感ではなくて。
俺は若干サディストかもしれない、とでも思っておこう。
そうじゃなきゃ、やってられない。
あ、やることやってるか。酷いコト、してるや。
「好きだよ、雅紀」
ひくつくソレの根本を、ぎゅうって握る。
逃げようとする上体を押さえつけ、にっこりと微笑みかけた。
ぐちゃぐちゃになった部分から、どろりとローションが流れ出たようだった。
気持ち好さからか、衝撃からか。
未だはっきりと話せないみたいだから、そっと胸を撫で下ろす。
ここまで来てノーとは聞きたくないから、戦慄く唇を塞いじゃうことにした。
適当に引っ掴んだ布を、相葉ちゃんの口に押し込んで蓋をする。
よく見ればそれは、脱ぎ散らかした下着だ。
「………あー……おっかしい」
堪らず笑い声を上げた俺を、相葉ちゃんは睨みつける。
涙目だから余計にそそるって、分かってんのかな?
どっちでもいいけど。別にそんなこと考えてないし。
可笑しいのはこの状況よりも、俺の頭なんだろう。
言い出しっぺの相葉ちゃんのが”可笑しい”に違いないけど。
バカでもそのくらいは分かる。最初から、知ってた。
だけど、まぁ、分かりたくもなかったね。
俺だって、かわいそう、だなんて。