第54章 鬆が入ったカスタードプディング

side.O


ぐり、と押す。弱いとこを。
悲鳴じみた声を上げる様が、かわいそうでもある。
つまるところ、かわいい。
俺に啼かされてるのが堪らない。その設定ってことで。



「雅紀…もっとしよっか」

「ふぇ……ぇ、もっと……？」

「いっぱい、気持ち好くなろ。好きでしょ」


問いに頷いた相葉ちゃんの髪を撫で、額にキスをする。
いいこだね、と耳に吹き込むと、きゅうって締まるから最高だ。
蕩けきった顔に、理性とかそういうものは欠片も無い。


お望み通りにしたよ。もう、いいかな。


ふと、そんな冷めた言葉が過った。
お前が”お人形”じゃないように、俺だってそうじゃない。



「ふぁ、ア、は……リーダー、もっとでしょ？ね、早く」

「んふふ。急かさなくても、ちゃんとあげるよ」


焦れたのか、長い脚が俺の腰をぐっと引き寄せる。
相葉ちゃんてば、やっぱりせっかちかも。
なんて考えながら、太腿の裏を押し上げて体を畳んでみた。
キツそうな体勢だけど、これが好きだって知ってるから気にしない。

そう、気にするだけ無駄だ。
相葉ちゃんが好きなひとは俺じゃないことも。
俺が相葉ちゃんを好きなことも。


薄い膜で隔てられた、ぬるま湯。
それを俺は幸せとは呼べないらしい。今更だけど。
だから、ほんのちょっと虐めたくなるのも仕方ない。
というので、どうだろ。