第52章 パンケーキにメープルシロップ
「良いよ、分かった。ニノがそう言うんだったら」
腑に落ちないという顔で、それでも否定はされなかった。
良心の呵責ってヤツですかね。
勿論、非があるのは俺なんだけど。
これ以上、不安を芽生えさせそうなことはやめよう。
それでも色々と余計なことを考えそうだから、目を瞑ってしなだれかかった。
そうすれば当然のように肩を抱かれて、潤くんの匂いが強く香る。
吃驚するくらい安心して、自然と唇に笑みが浮かんだ。
「俺の中では、アナタ、天使みたいなものなんです」
重くなる目蓋につられてか、するりとそんなコトが零れ出た。
すると、間近でくすくすと笑う気配がする。
そんなの、一人しかいない。
「ソレ、恥ずかしくない?」
嬉しさを隠さない声音に、かぁっと頬が熱くなる。
心外だな、と微々たる大きさで呟けば、それも伝わってしまったようで。
俺の頭が乗っているというのに、彼は肩を揺らして笑う。
何だか悔しくなって、負けじと笑うことにした。
やっぱり捻くれてるから、俺って。