第50章 素直なひと
side.M
「ねー、オレのことも何か褒めて?何でもいいから」
相葉さんが、そんなことをいきなり言い出した。
今楽屋にいるのは、オレとリーダーと相葉さんの三人。
あと二人は取材で席を外している。
誰に向かって相葉さんは言ってるんだろう。
一瞬そう考えてから、多分リーダーだな、と結論が出た。
「リーダーにって言わないと、このひと分かんないよ」
「あ、そっか。リーダー、褒めて」
「んぇ?え、そうなの」
寝起きみたいな顔でリーダーが伸びをする。
ぼんやりしてたからビックリってのと、自分が褒めるって驚き、かな?
相変わらず、妙なとこで自己評価が低いんだよなぁ。
「松潤はカッコいいだったし。ニノもだし、オレも欲しいなぁ」
「翔くんにも何も言ってねぇと思うけど」
「んー?翔ちゃんは……いっかな、うん」
「てかニノは寝癖じゃん。相葉さん、それで良いワケ?」
オレの言葉に、相葉さんが首を傾げる。
それにつられてリーダーも。
何だそれ、可愛いな。いや、そうじゃなくて。
「どういう風に言われたいとか、あるでしょってこと」
「あぁ!そうだね。やっぱ、カッコいいかな」
「そんなので良いの。相葉ちゃん、いつもカッコいいから今更じゃない?」
「え!ホント!?ありがと。リーダー、大好き!」
相葉さんがリーダーに抱き着くし、リーダーはされるがままだし。
何て言うんだろ。リーダーって結構アレだよな。
さらっと殺し文句を使うよねぇ。
メンバーもそうだろうけど内側に入れた相手にさ。
怖い、こわい。天然はコレだからね。
この二人はセットで空気清浄機だよな。いやぁ、凄い。