第45章 はめられた指環
「ヒント、な?」
極々自然な動きで顔が近づいて、思わず目を瞑って。
瞬き一つ分、それだけの接触。
たかが、それだけ。キスと呼べるかも怪しいのに。
だのに俺は心臓を鷲掴みにされた。しっくりきたんだ。
はぁっと零れた息は、自分でも分かる程に熱を孕んでいる。
そうして口から出て来たのは、おおのさん、なんて。
何て、甘ったるい声だ。
「んふふ……何か分かったっぽいね、ニノ」
「えぇ、分かったのかも。だから」
近い内、二人でゴハン行きましょう。
そう呟いて、肩に凭れ掛かり、目を閉じた。
すると、指同士を絡めて握られる。やっぱり、一番だ。
ぴったりとピースが嵌まったようで、嬉しくて仕方ない。
遠からず、俺は、このひとを独占出来るんだと思う。
きっと、これは自惚れなんかじゃない。
このひとは狙ってやったんだろう、と漸く察しがついた。
ま、引っかかってあげますけどね?
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右の小指→「気付いて」