第9章 私室の秘め事(R18 )
『まだ行くな』
そう言った氏政の声は威圧的なものではなかった。
むしろ初めて聞くような、どことなく色気を感じるその声になんだか胸騒ぎを覚える。
『氏政様?』
(きっと飲み過ぎちゃったんだよね)
急に後ろから抱かれ思わず停止してしまったが、お酒のせいだと思いそっと手を振りほどいて氏政から離れようとした。
だがその瞬間、腰をぐっと引き寄せられ顎を掬われると言葉を発する間もなく唇が重なった。
『んんっ……ん……』
すぐさま舌先が侵入し口内をゆっくりと掻き乱す。
両手に力を込めて氏政の肩を押すが男の力になど敵うわけがない。
『声を出したら小太郎に聞こえるぞ』
耳元でそう囁かれるとすぐに視界が反転し、再び激しく唇を塞がれながら次第に襟元を暴かれていった。
氏政は直美の首筋、鎖骨にも丁寧に口づけていく。
『この状況から逃げ出すために術を使ってみたらどうだ』
『そんな力ありません』
氏政を睨みながら必死に抵抗する。
力なんて最初からないのに。
それを今ここで証明するためにはこれから始まるであろう行為を受け入れるしかないのか。
必死の抵抗も虚しく慣れた手つきで着物を脱がされていく。
『本当に……本当なんです……ああっ』
氏政の手が直美の身体をなぞるように触れていく。
その手が秘部で止まるとそこからさらに身体の奥へと指が侵入していった。
『や……やめて……』
こんな声、外にいる小太郎に聞かせたくない。