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イケメン戦国 安土城の居候

第37章 来客


『小太郎さん、景家さん、会話の内容でもう察しているかもしれませんが私と佐助君は約500年後から来た人間なんです。今、一乗谷で起きている戦の結果次第では私たち、消えてしまうかもしれません』


消えかけた体の一部は元に戻る気配もなく、思わず声が震える。


2人ともさすがに驚いていたがそれを声に出すことはなく、佐助と直美の過去の言動についてそれぞれ思い出して納得している様に見えた。


先に口を開いたのは小太郎だった。


『今はどこから来たのかは問題ではありません。私も共に一乗谷に向かいます。力になれる事があれば何なりと申し付けください』


小太郎がそう言うとすぐに謙信から小太郎に大事な役目を言い渡される。


『とにかく時間が無さそうだ。先に行って俺たちの進路を確保してもらえるか?可能であれば状況の把握も頼む』


『わかりました。では直ちに向かいます。一乗谷でまたお会いしましょう』


小太郎は深く一礼すると大急ぎで広間を後にした。


『景家、すまぬが留守を頼むぞ』


『お任せください。直美様、驚きましたがお戻りになられたら可能な範囲でお話しを色々聞かせてくださいね』


『はい、喜んで。謙信様、ありがとうございます』


『礼は全てが終わってからだ。お前たちが存在しなくなる事など絶対にあってはならないからな。すぐにでも発つぞ』


それから半刻も経たないうちに春日山城を出発し、一乗谷へ向かうことになった。


(政宗から早駆けのコツを教えてもらって本当に良かったよ)


御影の背中に乗り、謙信の後ろに続いて出来るだけ早い速度を保ちながら駆けていく。


後ろに続く佐助たちの姿も心強い。


消えかけた体の一部はそれ以上にもそれ以下にもなっていなかった。


(きっと織田軍が頑張っている証拠だ。信長様、家康、待ってて!)


今はとにかく先を急ぐ。


すでに戦禍となった一乗谷では歴史を変えないための戦いが始まろうとしていた。
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