第36章 有言実行(R18 )
次第に激しくなっていく淫らに腰を打ち付ける音が部屋に響く。
『あ、あっ、だめっ!ああーーーっ』
『………っ……』
何が何だかわからずに朦朧とする身体を抱き締められ、乱れた髪を頭を撫でる様に整えられる。
『まだ終わらせない……直美、いいな?』
見たことのない艶やかな表情とその熱さに呑まれてしまいそうになる。
ちゃんと名前を呼ばれたことも、今の時間が特別であることを感じさせた。
『………はい』
まだ息が整わないまま唇が重なり合い再び謙信の首に腕を回すと、蝋燭の明かりが消えるまでお互いを求め合った。
全てが終わってからは心の中がざわざわと揺れていた。
(もしかしたら…もしかしたら私はとんでもない事をしてしまったのかもしれない…お互いの気持ちをはっきりしないまま謙信様と関係を持ってしまった…これからどんな関係になればいいんだろう…もし信長様に知られたらどうなるのかな…もう安土城にはいられなくなるのかもしれない…)
自分の気持ち、謙信の気持ち、大切なところばかりが置き去りになってぼやけたままだ。
だがこれはすぐに明確な答えが見つかるようなものではない。
気づけば外が明るくなり始めている。
静かに眠っている謙信の横で、時間に急かされる様に瞼を閉じて眠りについた。