第36章 有言実行(R18 )
春日山城では。
佐助が買ってきた梅干しを食べながら謙信がお酒を飲んでいた。
『俺が寝ている姿を見せてやると言ったな。いい機会だから眠くなるまで酌に付き合え』
そう言われて盃を満たし続けていたのだけれど。
謙信は全然眠くならない様で、お酒を飲むペースも全く落ちない。
どのくらい経ったのか、すでに空の色が変わり始めていた。
『謙信様……まだ眠くならないんですか?』
思わず聞いてしまう。
『ああ、まだだ。寝顔を見せてやるのもいいがお前が隣にいると思ったら急に寝るのが惜しくなってな』
(えっ?もしかして寝ないつもりなの?そしてさらりと口説いてる?いや、あの表情はそんな感じでもなさそうだし…何を考えているのか相変わらずわからないな)
『あの!謙信様の寝顔はまたの機会でいいので私は先に休ませてもらっていいですか?』
昼間、極上の場所で昼寝していてもこんな時間まで起きていたらさすがに眠い。
『そうか、では寝顔はまたの機会だな』
『はい、お先に失礼します。おやすみなさい』
部屋の隅に置いてある布団を使って先に横になった。