• テキストサイズ

イケメン戦国 安土城の居候

第7章 風魔の忍


風魔に連れ去られた直美は暗い廃寺の中で目を覚ました。

手足を縛られるわけでもなく身体は自由だ。

強いてあげるなら腹部に感じた痛みがまだ少し残る程度で、身体に何かされた跡もない。


周囲を確認しようとして体を起こすと、壁に寄りかかっていた男が口を開いた。

『先ほどは手荒な真似をして申し訳ありませんでした』

『あなた、さっきの人ですよね…』

なぜ謝ってくるのか意味がわからない。

『なんでこんなこと!何が目的なんですか?』

『私の主から織田信長の寵姫を連れてくるよう言われました。不思議な力を使って信長を本能寺から救い出したそうですね』

(は?寵姫?不思議な力?)

『おっしゃってる意味が全然わかりません』

『その力を北条のために使っていただきたいのです』

(この人何言ってるの?)

『そんな力ありません!それに信長様の寵姫?そんなんじゃありませんから』

男は直美に近寄ると、着物の上から懐刀のある場所を指でなぞる。

優しい口調とは反対にその目は鋭い。

『この織田の家紋入りの懐刀が寵姫である何よりの証拠だと思いますが?』

褒美でもらった刀に深い意味があるとは思わず困惑する。

もちろん褒美は口実で、万が一の時に身分を証明するため信長が直美に持たせたのだが、当の本人は何も知らない。

『とにかく全部違います。安土に帰らせてください!私はただの安土城の居候なんです!』
/ 596ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp