第29章 安土城へ
城門をくぐると城内が一気に騒がしくなる。
直美だけでなく蘭丸も戻って来たことが政宗と家康によってすぐ信長に伝えられた。
信長は天主から下に降りると2人を庭の前の廊下で出迎える。
『直美、蘭丸、2人ともよく無事に戻ったな』
『『はい!!』』
信長との久しぶりの再会に言いたいことがたくさんあるのだけれど。
先に一歩踏み出して信長に話しかけたのは蘭丸だった。
『信長様!この蘭丸、戦場で傷を負って動けなくなるなんて一生の不覚でした!どうかこれからも信長様のお側に置かせてください!お願いします!』
真剣な眼差しで信長に必死に訴える蘭丸の姿にとにかく圧倒されてしまう。
(蘭丸君、結構というかかなりグイグイいくんだなぁ…)
『蘭丸、では貴様はこれから直美の世話役として仕えろ』
『わかりました!ありがとうございます!』
(え、世話役?別にいらないよ…でも断ったところでもう決定事項だとか言いそうだな)
チラリと信長の表情をうかがうと思いっきり目が合った。
『直美、茶会はどうであった』
(茶会!?なんでそんな質問なの!?)
信長がどんな答えを期待しているのか、質問の意図が全然わからない。