第28章 佐助のターン
『じゃあさ、もう考えるのやめて普通に帰ろうよ』
突然の直美の意見に全員が目を丸くしている。
『どの道を通っても危険ならこれ以上考えても仕方ないでしょ。こうしてる間にも追っ手の人数が増えてるかもしれないんだし』
『あんた、本当に怖いもん知らずだね』
確かにこれ以上話し合ったところで意見がまとまる様には思えなかった。
突拍子もない意見に思われたが政宗もすぐに同意してくれたらしい。
『グダグダ考えるよりはよっぽどいいのかもな。襲われたら返り討ちにしてやればいいだけの話だ。俺と家康の馬に交代に乗っていけ。村には寄らず、最低限の休憩になるけどいいな』
もちろん佐助はどのルートになろうと安土城まで直美を送ると決めている。
『謙信様、俺は安土城まで彼女を送ります』
『お前たちがまた崖から飛び降りては困るからな。俺も付いていく』
『謙信の暴走を止めるのは俺だ。それに信長に無能呼ばわりされるのはごめんだからな』
こうしてあっという間に春日山の3人の同行が決まる。
『みんな、色々考えてくれてありがとう』
ここにいる皆が一緒だから何も怖くない。
翌朝には一乗谷を発つ事に決まり、佐助と直美を残して皆城下町に戻って行った。