第6章 初めての出陣
支度を終え、眠い目をこすらせて城門に行くと秀吉と光秀がすでに見送りに来ていた。
『直美、貴様はこちらだ』
名前を呼ばれると軽々体を持ち上げられて馬に、それも信長の前に乗せられた。
余裕な表情の信長に比べ、直美は緊張で口数も少ない。
『貴様、さっきから何を緊張している』
『これから戦が始まるんですよ!緊張しない方がおかしいです』
『ふっ、貴様が戦うわけではないだろう。戦場ではただ守られていれば良い』
『そんな事言われても怖いものは怖いです』
『天下統一を成し遂げるため戦は避けて通れぬ。
貴様のいた未来はこうして築かれるのではないか?
ならばその目でしかと見届けろ、そして幸運で勝利をもたらせ』
『わ、わかりました。幸運より悪運の方が強い気がしますがお側にいて見守ります。だから早く戦を終わらせて帰りましょう!』
『ならば早駆けだな。政宗!次の山の麓まで競争だ』
政宗が信長の横に馬をつける。
『俺と馬で勝負ですか、信長様だろうと手加減はしませんよ』
いよいよ動き始めたと思ったら一気に馬のスピードが加速する。
そこにあるのは信長、政宗の楽しそうな表情の2人と、馬から落ちない様半分泣きながら必死にしがみついている直美の姿だった。