第24章 鷹狩り
『直美、いるか?開けるぞ』
『えっ!?信長様!!どうしたんですか?』
あまりにも突然の訪問に緊急事態なのかと思って姿勢を正す。
『そう構えるな』
『いきなりなので緊張します。一体どうなさったんですか?』
『ああ、長政の件だ』
『昼間は突然襲われて驚きました。あの後、何かあったんですか?』
『いや、何もない。貴様、長政と何か話したか?』
そう聞かれて必死に会話の内容を思い出す。
『話ですか……あ、そういえば今度、小谷城でお茶会があるから来て欲しいって誘われました。行こうとは思ってないですし、行かせるつもりもないですよね?』
行かない事を前提に長政には無難な返事をしていた。
信長が首を縦に振って送り出すとは思っていなかったのだが…
『そうか、ならばその茶会に出向き城の内情と参加した者について報告しろ』
『えっ!?』
まさか行けと言われるなんて考えてもいなかった。
それも何かを企んでいる様な意地悪な笑顔で。
『嫌です!行きたくないです!』
『案ずるな、政宗と家康を護衛につける』
『そういう問題じゃないです!』
(単純に関わりたくないんです!)
『これは貴様にしか実行できん。織田家ゆかりの姫として恥じぬ様、茶会で作法を披露し掴んだ情報を報告しろ、これは命令だ』
『……わかりました』
(3食、昼寝付きで無料で居候させてもらってる以上、命令には逆らえない…)
『それで良い。明日から茶会での作法を秀吉に教えさせる』
直美が返事をすると、信長は楽しそうな顔をして部屋を出て行ったのだった。