第21章 富山城、再び
『直美、単刀直入に言う。
ワームホールとやらが3日後に本能寺のあった場所に現れる。貴様を手放す気はないが、未来に帰りたいと言うなら止めぬ。
未来で生きるか、このまま乱世に留まるか選べ』
(ワームホール!しかも3日後……)
突然の事に言葉がすぐに出てこなかった。
(この時代に来た直後はすぐにでも元の時代に帰りたいって思ってた。安土城で居候をしながら帰る方法を探そうと思ってた。
でも……でも今本当に帰りたいと思うのは違う場所。
私、今は皆と一緒に安土に帰りたい)
しばらく考えた後、まっすぐに信長の目を見つめながら答えた。
『信長様、私にとって大事なのはどの時代で生きるかではありません。どこで誰と生きるかです。
お願いです、どうかこのまま安土城に身を置かせてください。安土が私の帰る場所なんです』
未来と乱世の究極の選択となったが、もはや何の迷いもなかった。