第21章 富山城、再び
ー富山城ー
(…ん……ここは………)
どのくらい意識がなかったのかわからない。
気がついたらどこかの部屋にいて、今までぐっすりと眠っていた様だった。
(ああ……確か信長様が狙われてたのを庇って……それでどうなったんだっけ?)
ゆっくり目を開けると一番先に視界に入ったのは信長の姿だった。
『信長様……』
『直美、やっと目を覚ましたな』
今の状況がよくわからない。
けれどその姿と声は間違いなく本物の信長だ。
『良かった、無事だったんですね』
『あんたはまず自分の心配をしなよ』
その声の先には家康の姿が見えた。
『家康?なんで?どうしたの?』
『助けに来たに決まってるでしょ。直美、あんたは信長様を庇って斬られた後、丸2日意識が戻らなかったんだよ』
『2日も!?』
『ああ、久しぶりに肝を冷やしたな』
『そういうわけだから、まずはしっかり食べて寝て体力つけなよ』
家康はそう言うと直美の意識が戻ったことを皆に伝えるため、部屋を出て行った。