第20章 毛利元就
『自分から盾になるとは上手く飼い慣らしたもんだな』
『この女は貴様には飼い慣らせんだろうな』
元就が刀を向け、重い一撃を素早く信長に叩きつける。
信長はそれを片手で軽々と受け止め再び火花が散った。
直美は上体を起こしたまま信長の左腕に抱かれて守られているが、意識はなく着物が血で染まっていくのがわかる。
『飼い慣らせなくともいい声で啼いたぞ』
元就の挑発に信長の表情が険しくなる。
『貴様が何をしたかは知らんが戯れ言はそこまでだ』
信長の怒りに満ちた声が響いた。
2人の会話を聞いていた謙信は毛利軍の兵を蹴散らすと、手を休める事なく怒りに満ちた表情で元就に斬りかかっていく。
『お前は許さん。徹底的に斬る』
今度は謙信の刀を元就が受け止める状態になった。