第19章 白鳥城
『くだらん考察だ。佐助、俺が負けるわけないだろう』
話を聞いていた信長が眉をひそめながら佐助に質問する。
『佐助とやら、貴様ずいぶんと毛利について詳しいが何故だ?まさか安芸からの間者ではないだろうな』
『それは誓ってありません、約束します。一つ言えるのは…』
佐助は少し間をおいて再び話し始めた。
『俺は直美さんの秘密を当事者として共有しているという事です。だから直美さんに不利な情報など絶対に流しません。信じてください』
『『!!』』
謙信と信長には佐助の発言の意味する事がすぐに理解できた。
『佐助、何故今まで黙っていた』
謙信が佐助に刀を向けている。
『隠していたのではありません。特に何も聞かれなかったので自分から説明する機会を伺っていたら4年が過ぎていただけです』
『ねえ、あんたたちの秘密が何なのか知らないけど、今この状況どうするの?』
後ろで話を聞いていた家康が冷静に割って入る。
何かを考えていた信長も口を開いた。
『毛利が相手とあらば見過ごせない。今後中国攻めをするのに避けては通れぬ相手だからな。上杉とは一旦休戦する。家康、兵を本陣に引かせろ』
『佐助、ここにはもはや何もない。上杉軍は富山城に戻るぞ』
信長と謙信がそう指示を出した直後、富山城からの使いが血相を変えて謙信の元に走ってきた。