第3章 天守
天守を出ると秀吉さんが私の部屋まで案内してくれた。
『これからここが直美の部屋だ。襖を開ければ部屋の中から月も見える。自由に庭にも降りられるぞ。必要な物があればすぐに用意するから遠慮なく言えよ』
そう言ってにっこり笑うと大きな手でさりげなく私の頭をポンポンしてくれた。
天守に行く前とはまるで別人の様に優しくなってくれてとても嬉しかった。
『そうだ、明日は朝飯を済ませたら城下を案内してやる。政宗から誘われても断れ。あいつは手が早いから気をつけろよ。じゃ、俺も御殿に戻るから今日はゆっくり休め、いいな』
そう言って秀吉さんは自分の御殿へ戻っていった。
政宗より光秀さんや信玄様の方が積極的な気がするんだけどなぁ。うーん。
それより色々ありすぎて疲れたよ…今何時くらいなんだろう、さっぱりわからない。
部屋に用意されていた布団を敷いて、もらったばかりの懐刀を枕元に置く。
着慣れない着物を脱いで襦袢1枚になると一気にまぶたが重くなりあっという間に眠りについた。