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【YOI】君と、お前と、バンケで。【男主&ユーリ】

第2章 先輩の俺


楽しい時は、あっという間に過ぎていく。
最近は大分日が長くなって来ていたが、辺りが夕闇に包まれ始めた頃、礼之とユーリはホテルへ戻る道のりを歩いていた。
「疲れてない?」
「平気だ。なあ、折角だから俺の泊まってるホテルで夕食取ってかないか?」
「でもあそこ、ドレスコード結構厳しいでしょ?それに、僕のお小遣いじゃ予算オーバーだよ」
「俺もレストランは落ち着かないから、ルームサービス頼むつもりだ。付き合ってくれた礼だから気にすんなよ。俺の部屋、エグゼクティブ専用のフロアだから、お前を部屋に入れても大丈夫だ」
そんな風にユーリの宿泊している高層階の部屋に案内された礼之は、これまで利用した事のない設えの豪華さに目を丸くさせた。
「凄い。普通に泊まるだけでも充分ゴージャスなのに、更に超セレブな世界が広がってる…!」
「俺1人なのに、こんなスイートルームどうしろってんだろうな?」
「そこは綺麗なお姉様方と一緒に、美しくも妖しい東京の一夜を♪」
「…殴るぞ」
「ゴメン、冗談だよ。だって、こんな風に茶化さないと緊張しちゃって…」
そこで礼之は、ユーリが仄かに頬を染めているのに気が付くと、つられて自分も顔を赤くさせる。
暫しの間気まずい空気が流れたが、
「ぼ、僕『外で食べて来るから夕食いらない』って、家に連絡するね!」
「そ、そうか!じゃ、俺もテキトーに注文するわ。好き嫌いやアレルギーはねぇよな?」

その後は努めて明るく振舞いながら、2人は高級ホテルの料理をシェアしつつ夕食を楽しんだ。
備え付けのティーセットから好みの茶を淹れると、今日出かけた施設や買い物について話をする。
そうしている内に、未成年が出歩くには少々憚られる時間になってきた。
礼之の自宅は、ユーリの宿泊先から地下鉄ですぐの所にあるので、日付が変わる30分前に出発しても、充分その日の内に帰宅する事が出来る。
「そろそろ帰らなければ」という言葉が礼之の頭をもたげる度に、夜のせいか何処か曰くありげなユーリの視線に遮られてしまう。
しかし、流石にそういう訳にはいかないと思い直すと、礼之は椅子から立ち上がった。
「あんまり楽しいから、すっかり長居しちゃった。ユリは明日、何時にここを出るの?」
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