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【YOI】君と、お前と、バンケで。【男主&ユーリ】

第2章 先輩の俺


少しだけ情熱的なキスの後、2人は無意識に互いの身を寄せ合うように並んでいた。
「お前、この後どうすんだ?」
「もうすぐ両親が迎えに来てくれるから、広尾の自宅に戻るよ。ここからちょっと遠いけど、やっぱり家の方が落ち着くし」
「そっか」
「ユリは?」
「俺も今夜は東京のホテルだから、この後移動だ。…あのよ、礼之」
「うん、何?」
ユーリに名を呼ばれて、礼之は何処か喜びを隠せないような表情で返す。
「お前、明日は何かあるのか?」
「ううん、流石にお休み」
「そうなのか?じゃあ、えっと…」
礼之の言葉に、ユーリはやや緊張した面持ちで自分のスマホを差し出す。
「俺のコーチはさっき空港からロシアに戻ったんだけど、俺だけチケットの都合で帰国が明後日に延びたから、明日1日暇なんだ。それで…お前、ここに書いてある東京の観光スポット知ってるか?知ってるなら、一緒に…その…」
「…それって、もしかしなくてもデートの誘い!?」
「ばっ、デケェ声出すなっての!」
興奮気味に声を上げた礼之を、慌ててユーリは制止した。
「で、判んのか?」
「うん、大丈夫!そういえば、前に東京案内する話したよね。明日、ユリの泊まってるホテルまで迎えに行くよ!」
渡されたスマホを手に快諾した礼之の笑顔を見て、ユーリも自分の胸が、甘酸っぱい感情に心地よく締め付けられるのを覚えていた。

「どうにか上手く収まったようだな」
「あんな、オタベックくん。人の恋路を覗くような真似は…」
ユーリ達から少し離れた場所から様子を伺っていたオタベックの背後で、純が渋面を隠せずに呟く。
「そのような下劣な行為ではない。俺達は、ユーリとアレクの未熟な恋の行く末を、陰から見守っていただけだ」
「いや、立派にデバガメやから…って、僕は怪しい動きをしとった君を止めようとしただけやろ!」
「途中からサユリもほぼガン見だったじゃないか」
「僕は、あの2人が心配だっただけや!特に礼之くんは18歳未満やし」
「落ち着け、2人に気付かれたら厄介だぞ。それに、人を愛する気持ちは誰にも止められない。サユリだって、今のアレクぐらいの頃にそういうのはなかったのか?」
オタベックにそう問われた純は、思わず押し黙った。
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