【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第1章 【プロローグ】
よくよく考えれば、
クジも一人だけ引いていない。
(私も、素敵な贈り物をしたい)
ひまりはそう思い、胸の前で手をキュッと組み、口元を綻ばせ目を閉じる。脳裏に真っ先に浮かぶのは、目元を赤らめ照れ臭そうに笑う、大好きな家康の顔。
それだけで、
心がきゅんと高鳴る。
プレゼントだけは用意しておこう。
そう決め……
(でも、何が良いかな?)
胸を踊らせ出来れば、とびきり喜んで貰えるような物を贈りたいと願う。しかし、さっきの佐助と武将達のやり取り。
それも気になっていた。
(皆んなは、どうするのかな?)
あれこれと、考えようとした時。
「ひまり」
いつの間にか側まで来ていた、信長。
名前を呼ばれ、
ハッとした様子で、顔を上げれば……
「貴様は、家康を喜ばせることだけを考えろ」
頭に優しい重みが降りてくる。
温かいぬくもりと、柔らかい声。そして、慈しむような穏やかな表情は、ひまりの気持ちを汲み取り、見せたものだった。
その包み込むような信長の愛情は、
しっかりと、伝わり……
「はいっ!」
ふわりと花が咲く。
とびきりの笑顔を見せながら元気良く、ひまりは返事をした。
大切な人の誕生日。
一年に一度の特別な日。
心に残る、素敵な日にしたい。
その想いは、誰よりも強い。
新年を迎えてまだ、間もない日。
こうして本格的に始まった、
家康の誕生日を祝う秘密会議。
さて、どんな日になるのか。
それは、これからのお楽しみ……。