【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第8章 【真紅の水仙】〜誕生祭⑤〜前編
時を越えるまでの、
約二日間の壮大な旅。
信長の一言と、屋根裏に潜んでいた佐助の提案から始まった秘密会議。
家康の誕生日祝い。
『ケーキ、スプーン、リボン』
牛乳、卵、小麦粉、生クリーム、苺。
満開の笑顔が、それを物語る。
「ただいま!!」
本能寺跡でワームホールが開き、無事に現代から戦国時代へと戻ってきた五人。それを待ち兼ねていたように、門前で出迎えた三人。ひまりが大事に抱えていた風呂敷包みを見て、笑みを浮かべると同時に、信長達の奇妙な格好に驚きを見せた。
(((それにしても……)))
その中でも、特に目立つ格好をしていたひまり。太腿の素肌を晒した制服姿。その上からフリル付きの白いエプロン。三人が目のやり場に困ったのは、無理はないだろう。
各自は着替えをする為、廊下を突き進む。ひまりが部屋に入ろう襖に手を掛けると、信長は背後から呼び止め、手招き。そそっと近づけば、宴前に自分の元へ来るようにだけ告げ、天守へと歩みを進めた。
何の用事かな?
首を傾げるひまりに、佐助はあることを耳打ち。横向いた首が今度は縦にコクリと落ちるのを確認して、眼鏡をグッと押し当て、「何で俺も……」と不満げにぶつぶつ呟く家康を引き連れた光秀と共に、信長の後を追うように続く。
四人の姿が廊下の先から消えると、政宗は着物の袖を捲し上げ、気合いを入れて台所へ。ひまりから風呂敷包みを預かった秀吉は、三成と一緒に大広間へと移動。
そしてひまりは急いで部屋で着物に着替え、白いエプロンだけはもう一度着用して、宴の準備へと向かった。
ここから、一つの物語に繋がる……