第3章 カテキョの代金‐ハイキュー!!冬休み企画!‐
「…時間」
「へ?」
たっぷりと間を空けたワリに、いやらしい事を言ってくる訳じゃなく。
予想外の言葉に、口を半開きにして間抜けな声が漏れる。
「なんだよ、その顔。何?変な事でも期待してたか?」
「期待はしてない!」
私の予想の方が、よっぽど変な感じだったのは見透かされている。
顔に血が集まっている状態で首を振ったって、バレバレだ。
「期待はしてねぇって事は、予想はしてたんだ?」
「うっさい!予想もしてない!」
「顔、真っ赤だぜ?ちゃこちゃん、やーらしー」
「もう!鉄朗のバカ!絶対に時間なんかあげないから!私は忙しいの!」
からかいの言葉に応戦しても、鉄朗に口で勝てる訳がない。
悔し紛れに軽く胸元を叩いた。
その手を止めるように掴む大きな手。
「俺も春高あるし?終わったら部活引退で引き継ぎやらで忙しいからな
2月くらいの自由登校になった頃に、1日デートしようぜ?」
宥めるようなゆっくりとした声。
私の都合に合わせてるだけだろうに、自分の所為にして時期を遅らせてくれたのが分かる。
本当に、鉄朗には敵わないな。
負けを認めると気持ちが落ち着いてきた。
こんな要求なら、受けたい。
出来るなら、1日だけじゃなくて、何回もデートしたい。
「ね、鉄朗。他にも、分からない教科あるんだけどな」
「1教科につき、1日デートで教えてやるぜ?」
私から、素直に教えを乞う意味も簡単に見透かされて、何回分ものデートの約束をした。