第16章 男気見せるぜ
〜犬夜side〜
「一緒に頑張ろうね!」
そう言った先輩は、とても可愛く、愛おしかった。
「はい!オレ、頑張るんで見ててくださいね」
そう言うと華美さんはコクっと頷いて、ニッコリ微笑んだ。
華美さんに頑張ろうなんて言われたら頑張るしかない。
ま、元からそのつもりだったけどね。
先輩にかっこいいところ見せないと。
「おい、犬夜〜」
「なに?」
振り向くと、高校に入って仲良くなった、遊吾がいた。
「お前羨ましいよな〜可愛い彼女いて〜俺も欲しいー!」
そう言って、遊吾は肩を組んでくる。
「先輩は渡さねえよ」
「わかってるよ!お前ほんと、先輩ちゃんのことになるとムキになりすぎ!」
「う、うるせえな…先輩は大切なんだよ!」
「はぁー…惚気ですかそうですか…」
「…違うし」
「ま、頑張れよ!」
「無視かよ」
「じゃあな〜」
オレの背中をポンポンと叩いて、手を振りながら、遊吾はどこかに去った。
羨ましい、か。
そりゃそうだよな。
先輩は可愛いし、しっかり者だし、優しいし…
でも。先輩はオレのだから。
誰かに渡すもんか。