第15章 巷で話題のクリスマス
〜犬夜side〜
「これ!ごめんね、昨日返さずにそのまま持って帰っちゃって」
そう言って華美さんはオレのマフラーを差し出す。
「華美さんならそのまま持ってくれててもイイですよ〜?」
「さすがにそれは」
「そうですか…」
シュンとしたオレを見て華美さんは焦りながら
「あっ、犬夜くんが嫌とかじゃなくて!そのー」
「ふふ わかってますって」
ニッコリ笑うと、ホッとしたように頬を緩める華美さん。
ずっとこんな日々が続いてほしいなんて思うけど、華美さんはもう3年生。あと数ヶ月で卒業してしまう。
聞いたところ、進学せずに親の仕事を手伝うんだとか。
だからオレなんかに付き合ってくれてるのだろうけれど。
「…」
「…どうかした?」
無言のオレを心配して華美さんが声をかけてくれる。
「華美さんももうすぐで卒業なんだなあ…と」
「まぁそうだね〜 でも卒業しても犬夜くんとは会えるでしょ?」
さらっと嬉しいことを言ってくれる。
「へへっ、そうですね!」
「それよりまずはクリスマスだよ!」
「あっ、そういえばオレもうクリスマスプレゼント決めましたよ〜」
「ほんとに!?楽しみにしてるね〜」
「はい!」