第14章 はなび
〜犬夜side〜
いきなりの上目遣いに、下の名前で呼んでほしいという、おねだり。
こんなの断れるわけがない。
「…っ」
「、、っい、嫌なら、別に、先輩でも、イイんだけど…っ」
「…嫌なわけないですよ、華美…さん」
「〜〜〜〜っ!」
「華美さん、好きですよ…っ」
と、同時に花火が上がった。
オレにはもう花火なんてどうでもよくなった。
「…あ、ありがとう…」
そう言って、せんぱい…じゃなくて、華美さんは、照れた。
華美さんは本当にずるい。
「んんっ!」
華美さんの唇を奪い、それから耳元で、
「華美さん、好きです」
と囁いた。
花火の明るさで、華美さんの顔が真っ赤になっていることがわかる。
こういうところも可愛いから、オレは時々、我慢できなくなる。
結局、その後は
「華美さん、"はなび"綺麗ですね…?」
「け、犬夜くん、そんなに花火、見てないじゃんっ…」
「ずっと見てますよ?、はなび」
「…っ」
なんて言い合って、花火なんか見てもいなかった。