第1章 本編00~19
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「いいか手前等!只の農作業だと侮るんじゃねえぞ」
はい、小十郎スイッチ入りました。
農作業用の衣装なのに何でほんのり極殺入ってるの?
刀剣一同はその剣幕にゴクリと咽を鳴らす。
「鋤を振るうのも刀を振る動作に似てるからな、畑を耕す時は鍛練にもなる」
「成程、上から鋤を降り下ろす動作は確かに素振りに似ているのだね」
「そうだ石切丸。オイ!我武者羅に振るえば良いってもんじゃねえ!光忠!」
「わっごめんなさい!片倉様」
いやもう小十郎さんの剣幕に短刀がピルピルして私の後ろに隠れてるんだけど
「この位まで鋤を入れたら掘り起こして、土を反転させろ・・・おい五虎退、今剣、小夜」
「は、はい!」「はーい」「何?」
3人が恐る恐る私の背中から出てきて、小十郎さんから小さな子用の鋤を渡された
「わあ、ぼくたちようの、すきですー」
「ありがとうございます、小十郎さん」
「小さい鋤・・・」
鋤(すき)っていうのは戦国時代の木の鍬なんだけど。
小十郎さんの農具ってかなり本格的だからなのか現代の言葉使っても何故か通じるんだよ
まあ、政宗のせいだよね。スコップとかシャベルとか何処で覚えて来るんだか本当。
「畑を耕したら種を植えて早速野菜作りだ、どんな些細な変化にも気を配れ」
小十郎さんが短刀達に種をあげる。この子達は種をまく役なのね。
「畝(うね)が出来たら2~3粒一定感覚に埋めるんだ、軽くな。おい、畝はできたか?」
「はい、これくらいでしょうか?」
太郎さんと倶利伽羅、長谷部が恐る恐る出来上がった畝を小十郎さんに見せる
「初めてにしちゃ上出来だ。山姥切国広、鳴狐、青江、種をまいたあとに水をやってくれ、多くかけ過ぎたら腐るからな」
「わかった」
せっせと井戸へ水を汲みに言った3人を見送って、小十郎に近づいた
「小十郎さん、ありがとね」
「気にするな、刀に農作業を教えるのも新鮮だな」
桶を両手に持った水撒き組が帰ってきて再び小十郎がアドバイス
「1つ貸してくれ、手本を見せる」
「はい、どうぞ」
各自2つずつ大きな取っ手の付いた桶(バケツ?)を青江が1つ渡し、小十郎さんが手本を見せるかのように手で水をすくって撒き始める