第2章 世界で一番最悪な夜
久しぶりの彼との待ち合わせに
やっぱり浮かれる私。
クリスマス前ということもあり
イルミネーションで街は綺麗な光で
溢れていて。
少し早くつきすぎたかな、
なんて思っていると
遠くの方でキョロキョロ辺りを
見回す彼を発見する。
手を挙げて
名前を呼び掛けようとすると
彼はすぐに携帯に手をかけ
耳元にソレをあてた。
のに、
私の携帯は鳴らない。
誰に電話しているんだろう、
と一瞬疑問に思ったが
人混みの中近くへ行こうと歩き始めると
携帯を持ったままの彼の顔が
笑顔に変わる。
でも、
その視線は私ではなくて。
見たことのない、
白いコートを着た女の子が
彼に駆け寄り腕を掴む。
彼は携帯を耳元から外して
その女の子の手をとり
私とは反対の方向へ歩いて行った。
その後ろ姿をまっすぐ見つめて
「…………」
頭の中が真っ白になるとはこのことか
と冷静な自分が可愛くない。