第4章 きみを連れ出して
鼻を撫でるのは
淹れたてのコーヒーのような。
そんな香ばしい、いい香りで
目が覚めた。
目を開けると、そこは見覚えのない
真っ白な天井に綺麗なシーツ。
「…………」
あれ、私昨日は…
記憶を辿っている最中に
「あ、ちゃん、おはよ」
今まで見えなかったその人が
上半身裸で濡れたままそこにいた。
「……さ、さとしさん!?」
「うん、何?」
「な、なな何じゃありません!
ふ、服!着て!」
目のやり場に困る私を面白がるように
「服?なんで?昨日ずっとこれだったじゃん」
そう言ってまたベットに潜り込んだ。
シーツの下から顔を出した彼は昨日と違う
くしゃくしゃの髪に益々幼い笑顔。
か、わいい…じゃなくて
「は、なれてください!」
「んだよケチー」
「ちょ、どこ触って!」
「えー昨日いっぱいしたじゃーん」
「い、いっぱい!?」
キスをしてからのことが
走馬灯のようにゆっくりと蘇り
ジワジワと身体が熱を帯びると
「そ、いっぱい」
なんて
妖しげに笑った彼。