第4章 きみを連れ出して
こんな時でも惚れっぽかったなんて
無神経な自分が少し嫌になった。
なぜか胸騒ぎがして
急いでグラスをテーブルに置く。
慌てたようにベットから立ち上がると
その腕を取られた。
「………、さと」
「…待って」
「…………」
黙ったまま、決して大きくはない目が
私の視線を掴まえる。
彼の落ち着きとは裏腹に
私の心拍数は速くなるばかりで。
何秒かたったまま、その状態が続くと
智さんがやっと口を開いた。
「待って?」
「…待って、ます」
「…うん」
立ちっぱなしの私に下から見つめる視線。
「…まだ一緒にいてくれない?」
「………でも」
「でも?」
「…………」
でも、
これ以上智さんと一緒にいたら
私
「……わたし、」
「………」
「………」
「嘘、だって言ったら?」
「え?」
「振られた、なんて嘘だって」
智さんの言った意味がわからず
眉を下げた彼の表情に
ただ
ただ胸が苦しくなって。