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【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第5章 懐疑




 応接室で緑茶を出されるなり、白銀は声を上げた。


「あ、砂糖もらっていいです?」
「……これ、緑茶ですけど」
「緑茶にも砂糖入れるんですよ、私。渋いの苦手でねぇ」


 白銀はへらへらと笑いながら、緑茶にコーヒー用のスティック砂糖を入れ始めた。それも、テーブルに備え付けられたそれらがなくなるほどの勢いで。たっぷりの砂糖を吸い黄色くなった緑茶を美味そうに啜る目の前の男を見て、相澤は思わず目を眇める。


 湯飲みをテーブルに置くと、ようやく人心地ついたとばかりに白銀は口を開いた。


「翔は世話焼きで優しい性格なんですけどねぇ、正義感が強いもんで、首を突っ込みすぎて事を大きくしてしまうタチでして。何か問題を起こしたなら謝らせ――」
「一ノ瀬に戦闘技術を教えたのはあなたですか」


 相澤の話を遮るような質問に、白銀は一瞬目を見開いて相澤を見た。しかしすぐに察した、というように片眉を上げ、再び湯飲みを手に取り先を促す。こちらの話を聞く気はあるようだ。ならば遠回りな言い方はせず、単刀直入に切り込まなければ。


「一ノ瀬の対人戦闘を今日初めて見ました。非の打ちどころのない優秀な戦い方だった。が、優秀すぎる。転入試験は対人ではなかったので気づきませんでしたが……あれはおよそ高校生の戦い方ではありません」


 相澤はそこで一呼吸おいた。今日の対人戦闘演習の記憶を掘り起こしながら、言葉を選ぶ。


「あれは経験者の戦い方です。実際に命を狙われ、危険な敵と対峙したことがある者の」


 そう、今日の転校生の戦い方を見て、相澤が怖気のように感じとった違和感の正体はまさしくそれだった。


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