【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】
第4章 秘密を知る者
「俺はすべて知っている。お前が隠していることで、何か困ったことがあったら俺に頼るといいよ。力になれるかどうかは分からないけど、話くらいは聞いてあげられるから」
その言葉が何を意味しているのか、出久は真意をはかりかねた。けれどとても優しい言葉だと、それだけは思った。極限まで混乱しているこの状況で抱くような感想ではないはずなのに、ひどく困ったときに「大丈夫?」と肩を叩かれたような、そんな気持ちになったのだ。
「じゃあ改めて、これからもよろしくな。俺、先に戻ってるから」
転校生はそれだけ言うと、ひらりと手を振って身を翻した。出久はそれに応えることもできないまま、ただ立ち尽くしてその背中を見送ることしかできなかった。
廊下の床には、転校生が残していった黒い羽がひとつ、何かを暗示するように出久の足下に寄り添っていた。