【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】
第3章 対人戦闘訓練
「い、一ノ瀬くん、何か、ごめん。僕が余計なこと言ったからかっちゃんに……」
「いや、いいよ。俺が煽るようなこと言っちゃったんだし。それにさっき。まだクラスメートの個性とか性格とか知らない俺に、こっそり爆豪のこと教えてくれようとしたんだろ?」
出久は目を丸くした。途中で勝己が割って入ったせいで言いかけになってしまっていた言葉を、転校生はちゃんと聞いていたのだ。
「ありがとう。優しいんだな、緑谷は」
にこ、と端正な顔で優しく微笑みかけられ、出久は自分の顔が一気に火照っていくのを感じた。こんなにあからさまに、というか、面とむかって感謝されることはほとんどないので、何だか無性に気恥ずかしくなってしまう。
「い、いいいいやいやいやいや! そんな、僕は……ていうかそんなことより、かっちゃん怒らせちゃったから本当に、その、危ないかも……」
「ははっ、大丈夫だよ」
出久の言葉に、転校生はやはり怯むことなく爽やかに笑った。遠ざかっていく勝己の背中を見つめ、唇の片端をわずかにつり上げる。
「負けるわけがない」
だ、断言した。優秀であるだけに、自信も相当にあるらしい。
(優しいひとだけど……何か、血気盛んなところもあるんだな……)
出久は目をぱちぱちさせながら、妙に納得した。