第18章 終幕
「お主、どうしてそうなってしまったんじゃろうな」
声が聞こえて目を覚ます、体が異様に軽い、死んだか?
「いや、死んではおらぬよ」
視線を上げる、浮いてるおじいちゃんがいた、六道仙人じゃん
「ほう、わしがわかるのか、さすがそれだけの因果が渦巻いているだけあるの」
「因果……」
そういえば十尾を取り込んだ人はみんな私に因果がどうのとか言ってたな
「私にはよくわからないの、それって、どういうもの?」
ふむ、と彼は首をひねり言葉を探した
「お主はすべてを知っている、まるでこの世界の歴史を物語のように把握しておる、今までもこれからも」
彼は私注視して、顎に手を当てた
「その因果に時が吸い寄せられておるのだな、これは」
ええ?と私は疑問符を頭にだす、因果に時が吸い寄せられる?日本語かそれ?
「簡単に言えば持ち得ない知識を持つお前という異常に、時間という概念がその異常を補うために吸い寄せられているのだ」
………
「簡単に言いました?今」
「いったぞ」
………???
私はわかんねえという顔をしておじいちゃんを見る
いや、理屈はわかる、団子を出したらお茶も出てくるみたいなもんだろう、いやちょっと違うと思うけど
「しかしまずいな、このままではお主が寿命で死ぬ瞬間、この世界は永遠にそこを回り続ける事になる」
ええ!と私は彼を見る、これ一生もんなのか…
…ん?まてよ
「持ち得ない知識を持つ異常に時間が引き寄せられているなら、この知識を忘れればいいということですか?」
おじいちゃんはゆるりと首を振る
「そう簡単な話ではあるまい、お主自身が異常なのだ、だからその概念を引き剥がすにはお主自身を消すしかない」
だけど私を消すと時間が巻き戻る……は~?詰みじゃん
「ひとつだけ方法がある」
彼は目を細めてあまり気は進まないが、といった
「すべてをやり直す、そうすれば時間という概念はお前に構っていられなくなるほどに力を消耗するはずだ」