第17章 無限月読
……
「私の望む世界は共存できなかった、あまりのバグの多さに向こうが勝手に悲鳴上げて壊れただけよ」
要領を得ない彼の顔を見てくすりと笑う
「ま、要は欲張りすぎて全部叶えられなかったってだけね」
手を差し出すとサスケもその手を握り返す
「お前らしくないな」
うふふと笑ってサスケを見る
「そうね、サスケにはそう見えたのかも……さて、そろそろいける距離になる」
そう言って私は彼の手を握りこむ
……やっぱりこれは現実だ
飛ぶと息も絶え絶えのオビトとサクラがいた
「……ここからナルト達のところまで3人まとめて送るわ」
「…そんなことをしたら」
「オビト」
私はサスケの手を握ったままサクラの手を握る
「ほら、一応私も第七班初期メンバーだったわけだし、これぐらいはやらないとね」
オビトが肩に手を触れるのを確認して即席でチャクラを練り上げる
「、大丈夫なの?」
「話しかけないで」
カカシの座標はわかる、ただこれ、最短距離で飛ばないと最悪死ぬ
ここは現実だ、紛れもない現実
私はこの世界は無限月詠のようだといった、だけど違う
私の前世はもうどこにもない、私の前の家族も、あの懐かしい家も、古ぼけた中古車も。私にあるのは
今だけだ
「私の体は頼んだわよ、それで、今度こそ終わりにしてあげる」
答えも聞かずに私は飛ぶ、カカシの後ろ姿が見える、両手、肩共に落とした人はいないようだ
「サスケ!」
ナルトの声が遠くから聞こえる、チャクラがごっそりと抜け落ちた
もう指一本も動かない、倒れ落ちる体を、誰かに支えられた
「…まだ、死なないでくれ」
朦朧とした意識の中で声が聞こえる
私はなんとか広角をあげる
ゆっくりと横たえられ、私は彼の足を見る
ああ、生きてる意味、そうか、そういえば、彼の生き様を見ると言っていた、見届けなければ
瞬間重たい重力がのしかかる、指一本動かせない
彼の腹が貫かれるのが見える
そうか、そうか、そうだ
私が見届けなかったところで、こんなことわかってたはずだったんだ
そうか、もう
私は目を閉じる、もう、いいか