第2章 First
今日もふたりで、お互いの彼について想っていること、感じていること、本当はこうしたい、など、思い思いに気持ちを言い合っていた。それは、サッカー部員たちが着替えて部室から出てくるまで続き、気がつけば辺りは暗く、星が瞬く時間となっていた。12月の気温の低さも、愛する彼のことを想い話している時には、あまり気にならないものだった。
いつもの通り、途中まで部員たちと並んで帰り、電車通学であるため、ひとり駅に向かう朱音。改札を抜け、電車を待つホームは、土曜日のためかあまり人はいなかった。
電車を待つ間朱音は、空を見上げては、すっと思い切り、身体に冷たい空気を取り込む。そして、ゆっくり吐き出すと、なんだか気分がすっきりしていた。今の寂しい気持ちを、秋に話せたからだろうか。電車の到着を知らせるアナウンスを耳にしながら、再び視線を空にやり、吹雪も同じ空を見上げていればいい、と思いながら、ホームとは打って変わって暖かい、電車に乗り込むのであった。