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雪色

第2章 First


 季節は冬。12月も半ばにさしかかった今日この頃、雪こそ降らないものの、外気は急激に下がり、冬の到来を否が応でも実感させられる。それと同時に、街中至る所をきらびやかなイルミネーションが飾り、そのため気温とは矛盾して、雰囲気だけは温かさを感じられた。

 イルミネーションといえば、やはりクリスマスである。クリスマスといえば、誰にとっても特別な行事であることは、言うまでもない。

 サンタクロースの存在を信じ、指折り数えて待つ子供たち、子供の欲しがるものを探して、百貨店からショッピングモールから、あらゆる玩具屋という玩具屋を回り歩く大人たち、そして、愛する恋人とのささやかな幸せのために、プレゼントを選ぶ恋人夫婦……。
 どのような形にせよ、皆一様に、クリスマスを楽しみにしているのである。

 それはここ、雷門中サッカー部も例外ではなかった。

「クリスマス……」

 そう呟きながら練習後の後片付けをしている彼女は、葉山朱音。雷門中サッカー部のマネージャーのひとり。先ほど終わった練習の後片付けをしながら、今日は何日だったかと記憶を手繰る。今日は部誌当番ではないため、日付など気にも留めていなかったのだ。

「あと、1週間かぁ……」

 何をそんなに心待ちにしているのかというと、言うまでもなく、クリスマスである。その理由は、彼女の恋愛事情にあった。
 朱音の恋人は北海道、白恋中に通う吹雪士郎である。所謂、遠距離恋愛なのだ。彼とクリスマスを過ごすため、24日に終業式を終えるとその足で、彼女は北海道に出向く予定である。以前から計画していたことであり、吹雪とも相談をして決めたことだ。ただし、吹雪には25日の朝に東京を発つ、と伝えてあるが……。

「はぁー、もう、1週間長い!」

 他のマネージャーはそれぞれ別の仕事でここにはおらず、選手は皆部室で着替えているため、ここには朱音ひとりしかいない。それを良しとしてか、盛大に溜息をつきながら声を上げてしまった。




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