第4章 Third
自宅に着くと、昼食をとる。途中、夜のことを思い、自然と顔が緩んでしまった。
昼食を終え、落ち着いてから自室へと向かい、クローゼットを開ける。手に取ったのは、アイスブルーのニットワンピースである。
このワンピースは、以前に秋と買い物に行った時に購入したもので、その時には、あまり乗り気ではなかったものだった。けれど今になって、秋には本当に感謝している。彼女の見立てはすばらしく、ワンピースは朱音によく似合っていた。
シンプルな浅めのVネック、膝丈フレア形の、落ち着いたデザインである。トーンは暗めであるけれど、鎖骨のあたりに施されたレースと、ラメ入りの毛糸が編み込まれていることにより、華やかさもありつつ、上品な印象のワンピースだった。
カラーも彼の髪色に合うのだから、これを着ない手はない。そこまで合わせていた秋のセンスに脱帽である。生成のハイネックをインナーとして、重ねるワンピース。上にはゆるく編まれたクリームホワイトのカーディガンを羽織り、姿見に自身を映す。普段の私服では選ばないワンピースを身につけて、女の子らしく、可愛らしく、と意識をした。そして、中学生だからと普段は控えるメイクも、今回は少しだけ施すことにしたため、普段は持ち歩かない化粧ポーチを荷物の中に忍ばせた。
「吹雪くん」
早く会いたい、と小さくこぼしながら、ふぅ、と息を吐く。あと少し、と自分に言い聞かせては、荷物の確認に取り掛かった。